厨房機器について
厨房機器は、飲食店のほか、ホテルやスーパー、病院など、食品を調理したり、加工したりする現場で使われる機器のことです。一般家庭に備え付けられる家電やキッチン周辺機器と比べると、重く、大きいという特徴があります。
主な厨房機器
業務で使用される主な厨房機器についてご紹介していきます。飲食店を開業する場合は、冷蔵庫、シンク、そして食器棚は必ずそろえなければなりません。
- 冷蔵庫（業務用）
冷蔵庫は、厨房機器の中でも非常に大きく、また、飲食店を開業する際は、なければならないもののひとつです。業務用の冷蔵庫は1000リットル以上の容量を持つものもあります。家庭用冷蔵庫の容量は大きくても600リットル程度なので、その大きさの違いをわかっていただけるのではないでしょうか。もちろん、業務用冷蔵庫の中には、100リットル程度の容量の小さいモデルもあります。プロが働く厨房ですから、用途によってサイズを選べるようになっているのです。
業務用冷蔵庫と家庭用冷蔵庫の違いは、これだけではありません。電源も違います。一般家庭用の冷蔵庫は、家庭用の100Vのコンセントで動作しますが、業務用の冷蔵庫の多くは200Vの動力電源で動作します。そのため、業務用冷蔵庫を家庭の台所で使うことはできません。
冷却機能も異なります。業務用冷蔵庫はガスを冷媒に使う気化圧縮型と呼ばれる仕組みで冷やしています。業務用冷蔵庫は、一般家庭の冷蔵庫のものとは異なる、パワフルな冷却能力を持つことが特徴です。
排水量も異なります。業務用冷蔵庫はとても排水量が多いため、大きなものの場合は特に、厨房に排水設備を設けなければなりません。バケツで排水可能なレベルの水量ではないので、ルートもしっかり考えて排水設備を用意する必要があります。家庭用の冷蔵庫の場合、さすがにここまでする必要はありません。
業務用の冷蔵庫には、家庭用の冷蔵庫に備え付けられているようなドアポケットは備わっていません。これはドアの開け閉めによる食品への影響を最小限にするための措置です。業務用の冷蔵庫では、一般家庭よりも長く食品を保管する必要があるため、さまざまな点で、家庭用の冷蔵庫とは機能に関する考え方が異なります。
- 製氷器
製氷器は、飲食店を開店する際に必要な最低限の設備には含まれていませんが、現実的には必要な設備です。業務用と家庭用の製氷器の違いは、冷蔵庫と同じように、やはり容量、そして製氷力です。業務用の製氷器は、容量が大きく、氷を作るスピードも速いという特徴を持っています。特に暑い季節になると、業務用と家庭用の製氷器では、その製氷能力に大きな差が出ます。家庭では飲食店ほどの量の氷を使うことはまれです。規模が小さい飲食店で、あまり氷を使わないのであれば家庭用でも問題ないかもしれませんが、一定量以上の氷を使うのであれば、業務用の製氷器は必須だといえます。現在の業務用製氷器は、セル方式と呼ばれる製氷方式を採用しているものがほとんどで、できた氷にはへこみがあることが特徴です。
- 作業台
作業台は、厨房に備え付ける、主にステンレス製の台（テーブル）のことです。引き出し付きやスノコ付きのものなど、バリエーションがあります。横型冷蔵庫と一体化したコールドテーブルも数多くの厨房で利用されています。冷蔵庫と作業スペースが一体化しているので、狭いキッチンでもスペースを有効に使うことが可能です。厨房内の導線や、主に作業をする人に合わせて、高さや置き場所を工夫するといいでしょう。コールドテーブルの場合は、当日に使用する食材のみを入れておくなど、メインの冷蔵庫と使い方を分けると作業効率がよくなります。
- ガスレンジ・ガステーブル
火を使うなら、ガスレンジは必須です。業務用のガステーブルは、ガスレンジとコンベクションオーブンを一体収納できるものが主流です。レンジとオーブンを同時に使用可能なので、仕事の効率アップにつなげられます。
- 食器洗浄機
食器洗浄機は、多忙な飲食店には、特に設置をおすすめしたい業務用厨房機器です。使用済みの食器をまとめてセットしてスタートさせるだけで、自動的に食器を洗ってくれます。
- シンク
シンクは、飲食店を開店するために、最低条件としてそろえなければならない設備です。ほとんどはステンレス製で、調理場に合わせて、作業台との組み合わせを考えたり、引き出しや扉が付いたものを選んだりできます。
- 食器棚
食器棚はなくても営業できそうなものですが、これがないと飲食店の営業許可を得ることはできません。食品衛生法で設置が義務づけられているからです。食器棚は機械ではないので、こわれることはほとんどありません。導線や、お客様からの視線を考えて設置しましょう。
厨房機器を選ぶ際の注意点
厨房機器は、同じ飲食店であっても、業態により必要なものは異なりますので、自分の業態にあった機器をそろえることが基本です。ただし、すでにご紹介しているとおり、飲食店を開く際にはそろえなければならない必須の機器もあります。
厨房機器を選ぶ際は、これら（冷凍冷蔵庫、シンク、食器棚）をそろえたうえで、ガスレンジ、作業台やコールドテーブル、製氷器などを、厨房の大きさや作業の動線を考慮して設置します。「人が余裕をもってすれ違えるかどうか」「ホールにいるスタッフとの連携」などを考えて、できればキッチンの真ん中から数歩以内で、調理とオーダーを含め、すべてが可能な機器の配置が望まれます。冷蔵庫の扉などが、意外に作業の邪魔になってしまうことがあるので、そういった面も考えて機器の配置を考えてみましょう。
厨房機器を購入する
厨房機器を購入する際、選択肢として「新品」か「中古」が挙げられます。
新品の厨房機器は、使用に当たって安心できます。これはとても大きなメリットです。ただし、新品の場合は、当然ながら価格が高くなるため、多くの飲食店経営者の方にとってネックになるはずです。限られた予算の中で最高の選択をしようとすると、新品を購入することは難しいという方は少なくないでしょう。
厨房機器は、販売の際に定価表示されていることがほとんどなので、実際に購入する場合は、ある程度割引になるのが普通です。メーカーによっても、またモデルによっても割引率は異なりますが、定価から3割程度は安い価格が提示されます。新品購入を検討する場合は、この位の価格を目安にするといいでしょう。
しかし、それでもやはり余裕がないとなると、中古を検討することになります。
中古の厨房機器は、かなり流通しているので、探すこと自体はそれほど苦にならないはずです。まだ新しい機器も数多く市場に出ているので、新品に近い、きれいなものも見つけられるでしょう。とはいえ、このレベルの中古厨房機器を購入するとなると、それなりの出費は覚悟する必要があります。
中古厨房機器のメリットとデメリット
「新品は高すぎるので、やはり中古にしよう」
そう考えるのであれば、中古厨房機器のメリットとデメリットを両方考えてから判断するようにしましょう。
- 中古厨房機器のメリット
中古の厨房機器には、もちろんメリットがあります。少し、すでにご説明した内容と重複する部分もありますが、ぜひチェックしてください。
・コスト削減に効果的中古厨房機器は、新品よりは販売価格が安い。これは当たり前のことです。新規で飲食店を開く場合は、準備資金がかさみますので、なるべく使うお金は抑えたいもの。このような方は、中古で機器をそろえるといいでしょう。近年のモデルは、とても性能がよく、こわれないので中古でもまったく問題ないと考える方は多くいらっしゃるようです。新品の半額以下で買える場合もあるので、これもまた魅力的です。中古とはいうものの、ほとんど使われていないような機器もあり、このようなものを見つけられれば、とてもいい買い物ができます。
・絶版製品が購入可能中古だと、すでに製造が中止されている絶版製品を購入することができます。「評判のいいモデルなどで、どうしても手に入れたかったものの製造が中止になってしまった」という場合でも、中古市場を探すと見つけられるかもしれません。飲食店の開業において、厨房機器はとても高い買い物になります。シンク、食器棚、冷凍冷蔵庫は当たり前として、ガステーブルや製氷器などは、ほとんどの飲食店で必要になり、すべてを購入するとなると新品だと最低でも300万円程度は覚悟しなければなりません。そのほかにも物入りになることが多いので、中古で、しかも評判のいいモデルが手に入れば、かなりの節約になるでしょう。オープンでお金をかけすぎてしまい、資金がうまく回らなくなるようなケースは避けたいところです。自分の懐具合に応じて、ベストな判断をすることが大切です。
・納品が早い新品は通常、メーカーからの配達になるので、店舗に届けられるまで、ある程度の時間がかかります。しかし、中古の場合は、すでにショップにある製品なので、すぐに店舗に届けられます。オープンまでに時間がない場合や、緊急の事情でどうしても製品を手に入れたい場合は、中古のほうがいいでしょう。
- 中古厨房機器のデメリット
中古厨房機器は、ご紹介したようにメリットが多いのですが、デメリットももちろんあります。
・故障しやすい中古の厨房機器は、どうしても新品よりも故障が多くなります。最近のモデルは機能的で、信頼度が高いとはいえ、前のオーナーがどのような使い方をしていたかどうかを知ることは難しいため、故障の可能性が高まるのは仕方のないところです。古いモデルとなるとなおさらでしょう。
・パーツの不安メリットでご紹介したように、中古品だと絶版製品を手に入れられます。しかし、絶版となると、数年後には故障してもパーツが手に入れられなくなる可能性が高まるため、これはデメリットだといえるでしょう。中古厨房機器は、パーツの状況を確かめてから購入する必要があります。
・使用感が残る中古品は、誰かが以前使っていたものなので、キズや汚れなどがついている製品が数多く出回っています。「機能的に問題がなければいい」という方は問題ありませんが、どうしても使用感が気になるという方も多くいらっしゃいます。このような方には中古厨房機器は向きません。
・保証が短いことがある新品の厨房機器なら、ある程度の期間のメーカー保証がついてきます。しかし、中古の場合は、保証が短かったり、まったくなかったりすることも考えられます。そのため、こわれてしまった場合や不調の場合は、自腹で修理しなければなりません。
購入前に必ずチェックしておきたい電気やガス
新品にしても中古にしても、厨房機器を購入する前に、チェックが必要なことをご紹介しておきます。
ご存じのように電気は、東日本と西日本で周波数が異なります。厨房機器の中には、どちらかでしか使えない製品も存在しているので、購入の際は、必ず確認しておきましょう。
また、ガス器具は、地域のガスに対応している必要があります。都市ガスの中にも種類があるので、対応する機器かどうか確認してから購入しましょう。もちろん、LPガスの場合も対応している機器かどうか必ず確認してください。
厨房機器の設置や取り付けについて
厨房機器は大きいので、設置や取り付けに関しても考慮して購入する必要があります。厨房機器を購入し、配送を依頼する際に忘れてはならないのは「車上渡し」になることです。車上渡しは、その名のとおり、引き渡しが車の上となるので、荷下ろしをして、店内に運び込むのは購入者の仕事になります。すなわち、設置や取り付けを依頼する場合は、別料金になるので注意が必要です。
厨房機器の廃棄について
新規開店で厨房機器をそろえる場合は問題ありませんが、機器の入れ替えや閉店の場合は、厨房機器を売却、または廃棄しなければならないことも多くなります。このような際は買取店を利用すると便利です。
- 厨房機器販売・買い取りのループ
神奈川県の「ループ」では、新品・中古の厨房機器の販売と買い取りを行っています。閉店などで不要になった厨房機器の買取査定も、東京、神奈川を中心に、関東の幅広いエリアで対応しています。厨房機器の設置や運搬サービスも行っているので、機器の厨房への搬入にお困りの方は、ぜひチェックしてください。
